禁じられた恋の祈り
村下孝蔵さんの歌には、禁じられた恋、許されない愛、という題材をいくつかみつけることができます。深く愛しながらも、しかしそれは雪のように消えて現実となりません。略奪もなければ逃避行もなく、愛は二人の思いの中だけで生き続けます。「いいなずけ」と「花れん」に、その思いを辿ってみます。
夏の夜の静かな愛の景色を感じさせる「いいなずけ」は、深い愛の言葉が、流れるようなメロディーにのせられています。隠れた恋におちた二人は、ただただ運命の人と信じて、いつか許されると信じて、心を重ねてきました。しかし私には、ある疑問がありました。
“愛してる 愛してる くり返し 抱きしめ合い”というフレーズは、愛の逢瀬を意味しているのでしょうか。私は違うのではないかと思うようになりました。この二人には、現実としての行為はなかったのではないかと思います。というのもその前に“いつまでも心を重ね 祈ってみても 隠れた恋”と表現しているからです。
重ねたのは心であること。もしくり返し逢瀬を重ねた恋なら、ずっと隠れていられるでしょうか。二人はお互いの愛を確かめながらも、現実に結ばれることなく、祈ることしかできなかったのではないでしょうか。
この歌のなかには“風鈴”と“蛍”が描かれていますが、これは相手の女性のことではないかと思いました。風鈴は自分から鳴くことはありません。風に揺れて静かに鳴きます。“手招き 誘ってみても 宙を回って 逃げて消えた”蛍は、夢のなかで誘った女性が、するりと消えるように逃げてしまった、と受け取れないでしょうか。思いのなかで強く結ばれるほど二人は惹かれあいながらも、現実には結ばれていなかったのではないでしょうか。
その女性とは運命的に決められていた「いいなずけ」だったと信じたい。いつか結ばれることは、神の意思で決められているのだと。
「いいなずけ」が男性の気持ちだとすると、同じような立場の女性の気持ちを「花れん」にみることができます。“追いかけてゆきたいけれども 何もかも捨てたいけれども”それでもそれをできない女性の心です。
“心が形で 送れるものならば どんなにあなたは 驚くでしょうか”相手の男性は、この女性の本心を知らされないまま、離れてしまったのでしょう。
“小さなビーズの首飾り 取り出してみたら糸が切れ 床に散らばった”この首飾りが二人の今の別れを意味するのか、本心を伝え二人が逃避行したらこのようになってしまうのでは、ということなのか、私は後者のような気がしました。何もかも捨てて追いかけてゆきたい。でもそれは自分たち二人だけの問題ではなく、その周囲全ての破綻を意味していることを、女性は心配しているのでしょう。
せめてあなたに、気持ちだけでも伝えたい。青空に花びらを集めて。“たとえば 白い花ならば 寂しくて泣いていますと 紅い花なら元気ですと 教えられたなら”
| 固定リンク
« 初恋 | トップページ | オンリーワン 村下孝蔵 »

コメント
村下さんの作品の魅力
村下さん御自身に魅力がおありだったのではないでしょうか。
村下さんのこと見ていると、こちらがじっとしていられない思いになってしまいます。魅力がにじみ出ているというか、これは、村下さんがお若い頃からの地道な努力の賜物でしょうね。天や神からの授かり物でしょうね。天性的な天才ですよね。ギターテクニックといい・・・誰も足元にも及ばないでしょうね。そんな村下さんの歌に出会えて幸せ・・・と、思う時があります。
投稿: ゆう | 2006年6月12日 (月) 21時24分
私は生前の村下さんに実際にお会いできなかったことが何より残念です。
村下さんはガラスの心をいろんな色で包んでいたのですね。それを広げることがいいことかどうかわかりませんが、もし誤解があればそれを解きたいのです。
村下さんの描く愛や恋や意志など。今の自分に足りないものを教えていただく気持ちです。
私も村下さんの歌に出会えて幸せです。
投稿: すずらん | 2006年6月12日 (月) 21時57分
村下さん御自身、ガラスのように繊細だったと、よく聞きますよね。それが、見事に作品に表れているのでしょうね。すずらんさんのように、こうして、村下さんのことをよみがえらせるようなこと、私も嬉しく思います。また、楽しみにしてます。
投稿: ゆう | 2006年6月12日 (月) 22時39分
ゆうさん
ありがとうございます。
村下さんの声に耳を傾けながら、やってみたいと思います。
投稿: すずらん | 2006年6月13日 (火) 17時34分
またお邪魔します。
村下さんの作品、それは、村下さん御自身、分身かな・・と。
まさに命を削られて作られたのでしょう。命と引き換えに・・というか。これほどまでにも私たちのことを夢中にさせてしまう、引き込ませてしまう不思議な力、ありますね。言霊という言葉どおりですよね。何度聴いても飽きさせない『力』というか『作用』というか・・・『効能』?薬じゃないけど利きますよね。ズシ~ンと心に響きますよね。
村下さんの声
きっと、すずらんさんだけじゃないと思います。他にも村下さんのささやきが聞こえる人いるかと思われますね。村下さんの歌に一心に耳を傾けている人で、言わないだけで・・・
すずらんさんのお仲間、いらっしゃると思われますよ。
生意気なことばかりで、すみません。
強い心、持ち続けていてくださいね。
投稿: ゆう | 2006年6月13日 (火) 18時25分
ゆうしゃ~ん、ほろほろ。。。
自分は村下さんの歌のなかに逃げていた時期がありました。
でもそれではだめなんだ、と思うようになったのです。
心の色が変わるまで、でもそこからは自分で自分の色を作っていくんだ、と。村下さんはそうしてきたんだと思うのです。
私、何色になるのかしら。(結構黒が多い、もうこれ以上染まらないとか…クシュン)
投稿: すずらん | 2006年6月14日 (水) 16時22分
ガラスのように繊細・・・つまりは、細かい気配りがあった優しさ・・・村下さん疲れなかったかなって心配になります。今さら心配したって遅いけど、いろいろな所に気を使って・・・配慮されて・・・気疲れは、なかったかな・・・
「ギターの手を休めて・・・」という思いに駆られる時があります。ギターの手を休めたら、なまってしまう・・・と、思ったのでしょうか。そんな村下さんのことを支え続けて理解されていた村下さんの奥様に「敬礼」したいです。
私にできることは、村下さんの歌を聞いたり一緒に歌っていくことくらいですが。あとはDVDを見る・・・それが精一杯ですね。
村下さんは独特のカラーの持ち主ですよね。誰のマネをしているわけでもなく、加山さんやベンチャーズの良いところをふんだんに取り入れて、あくまでも「村下孝蔵さんは村下孝蔵さん」で。
すずらんさんは、十分「村下孝蔵さん色」のような気がするのですが。お恥ずかしいことに私は、まだまだ、聞き方が足りないのかもしれませんね。すずらんさんを見習っていかなくては・・・
投稿: ゆう | 2006年6月15日 (木) 01時26分
ゆうさん
村下さんは「人間 村下孝蔵」としての魅力があって、いつもは気のいいお兄さんなんだけど、いったんギターを手にしたら「すげーっ!」と近所の男の子に言わせてしまうような。そんな想像をしてしまいます。
私は今まで村下さんの歌をわからないまま聴いていたんです。ほんとです。
あらためて詞を広げてみたら、主人公が別人に見えたんです。こんなことがあるんですね。
もっと主人公に近づきたい、もしこの人なら次はどうするのだろう…。もうそんなことばかり気になるんです。でもそれがジグソーパズルのようで止められないんですよ。
不思議です。
投稿: すずらん | 2006年6月18日 (日) 14時04分
「僕の歌、聴いてよ!」
「ねえ、ねえ、僕ともっともっと遊んで・・・」
かわゆ~い村下少年がささやいて
たまりませんよね~
村下さんの歌を聞いていると、ふっと、そんな言葉が出てきそうです。
投稿: ゆう | 2006年6月19日 (月) 08時20分
今日は、村下さんと何して遊ぼうかな
かくれんぼ、おにごっこ、ずいずいずっころばし、
しゃぼんだましようか。車でドライブ~♪もいいよね。
村下さん、凧揚げが大好きでしたっけ☆
投稿: ゆう | 2006年6月20日 (火) 08時44分
『ゆうちゃん
今日はビー玉をやらないか。
ほら、このビー玉きれいだろ。
ゆうちゃんが勝ったらあげるよ。』
ゆうさん
あなたは村下さんの幼なじみ、もしくは初恋の方ではありませんか?
投稿: すずらん | 2006年6月20日 (火) 19時21分
(笑)ただのファンですよ。なんの関係ないですよ。
村下さんとは遠い地域に住んでいて・・・
前世では近い所にいて、村下さんは私のことを楽しませてくれた。この世でも、こうして、歌で楽しませてくれて・・・
昔々、姫の私と村下さんは今で言う「ガードマン」と言ったらわかりやすいかな。
実を言うと、私も去年でしたが「僕はここにいるよ」って聞こえたんですよ。すずらんさんのを見て、びっくり・・・すずらんさんも昔々、姫で村下さんに守られていた時代があったかもしれませんね。
投稿: ゆう | 2006年6月20日 (火) 21時16分
明日は『かげふみ』したいな。(^^)
投稿: ゆう | 2006年6月20日 (火) 21時39分
ゆうさん
私には前世のことまではわかりませんが、たぶん男の子だったのではないでしょうか。なーんか女の子だった記憶がないんですよ(笑)
「かげふみ」ですか。これもひとりではできない遊びですよね。(^-^)
投稿: すずらん | 2006年6月20日 (火) 22時30分
それじゃ、すずらんさんは村下さんと友達だったのかも・・・
遠い時代に思いが馳せます。
投稿: ゆう | 2006年6月20日 (火) 22時39分